公共の福祉と国民の義務をわかりやすく解説します。
目次
1 公共の福祉
公共の福祉とは、社会全体に共通する幸福や利益のことを意味しています。
日本国憲法は、
【第12条】自由・権利の保持の責任とその濫用の禁止
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
としています。
大切な人権が制限される例として
△ 表現の自由【第21条】が制限される
→ 他人のプライバシーや名誉を侵害されることは許されない(刑法)
△ 信教の自由【第20条】が制限される
→ 他人の身体を傷つける宗教的行為を行うことは許されない(刑法)
△ 集会の自由【第21条】が制限される
→ デモ行進は許可がなければすることができない(公安条例)
△ 居住・移転の自由【第22条】が制限される
→ 入院を拒否した感染者に罰則を科す(感染症法)
△ 職業選択の自由【第22条】が制限される
→ 医師や美容師になるには特別な資格が必要です。(医師法など)
△ 労働基本権(労働三権)【第28条】が制限される
→ 公務員のストライキの禁止(国家公務員法、地方公務員法)
△ 財産権【第29条】が制限される
→ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共(道路や空港建設)のために用いることができる(憲法)
2 国民の義務
日本国憲法は、国民の義務を明らかにしています。
国民の三大義務
- 子どもに普通教育を受けさせる義務(第26条)
- 勤労の義務(第27条)
- 納税の義務(第30条)
【第26条】教育を受ける権利、教育の義務
② 法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
【第27条】勤労の権利及び義務
① すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
【第30条】納税の義務
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
そのほか、国会議員や裁判官、その他の公務員には、
【第99条】憲法尊重擁護の義務
天皇(又は摂政)及び国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
さあ、基礎・基本の用語をしっかり覚えましょう。
◎ 基礎・基本の用語
〇 公共の福祉(こうきょうのふくし)- 社会全体に共通する幸福や利益 第12条
〇 子どもに普通教育を受けさせる義務 - 第26条
〇 勤労の義務(きんろうのぎむ)- 第27条
〇 納税の義務(のうぜいのぎむ)- 第30条
〇 憲法尊重擁護の義務(けんぽうようごのぎむ)- 第99条
☆ ふり返り
◇ ①~⑤に当てはまる言葉を答えなさい。
1 国民は、これを濫用してはならないのであって、常に(①)のためにこれを利用する責任を負ふ。第12条
2 法律の定めるところにより、その保護する子女に(②)を負ふ。第26条
3 すべて国民は、(③)の権利を有し、義務を負ふ。第27条
4 国民は、法律の定めるところにより、(④)の義務を負ふ。第30条
5 国会議員、裁判官、その他の公務員は、この(⑤)を尊重し擁護する義務を負ふ。第99条
💮 答え
① 公共の福祉(こうきょうのふくし)
② 子女に普通教育を受けさせる義務
③ 勤労の義務(きんろうのぎむ)
④ 納税の義務(のうぜいのぎむ)
⑤ 憲法(けんぽう)
これで基礎学力バッチリです。